グッゲンハイム・ヘルシンキ
Helsinki, Finland, 2014
グッゲンハイム・ミュージアム・ヘルシンキは、可能性に満ちた三次元ネットワークによって従来的制約から解き放たれる。
緩やかなカーブを持つ4つの平面が互いに折り重なり合いながら段々に上へ登っていく。ここを訪れる者は、なだらかな斜面に沿って、連続軌道上を移動しながら直感的な旅を体験をする。平面上に空いた無数の穴が多方向接続を可能にするため、展示の配列や関連性を計画するキュレーターは無限の可能性を手にする。
この建物は、平面図・立面図の双方において、ヘルシンキ南港という近隣環境に建つ「都市ブロック」的な性格をもつ。
グッゲンハイム・ミュージアム・ヘルシンキは到着・出発の狭間に浮かぶ存在だ。
海流に乗って入港しつつ徐々に水に回帰して行く流氷さながらに、この建物は、オールド・マーケットと背後のシティーに接近しつつ透明度を増していく。ミュージアムとヘルシンキの街の間には率直な対話の流れが生まれる。
ヘルシンキの日照条件は多種多様であるが、そこから生じる困難がかえって街の資産となっている:戦略的に配置された穿孔から年間を通じて自然光が取り込まれ、ミュージアムの環境は刻々と変化する。
一見シンプルな戦略を基に生み出された高度な柔軟性が、この建物の構造原理の鍵だ。穿孔の開いたスラブ曲面と、それらが折り重なる構造によって生まれた精微な空間を、直角に交わる格子状の基礎構造上に載せた。これにより、建物の用途や機能、動線、セクション間の繋がり、採光分析などに基づく、明確・明快、柔軟な設計が可能になった。
エクシビションに訪れる人々は、絶え間なく変化する深さと空間の精密さを通じて様々な発見をする。ここでは、従来的な「白い箱」のプロトタイプを全否定するのではなく、箱を展開することで柔軟性を持たせた。キュレーターは、隔離空間の継ぎ接ぎのような箱空間ではなく、オープンエンド型のテンプレートを与えられ、未知の領域を切り開いていく。
(翻訳:山尾暢子)
Helsinki, Finland, 2014
Type
Status
Team
フロリアン ブッシュ, 宮崎佐知子, 山脇ももよ, 宮本哲, 髙橋卓, A. ヴァクセレール
環境: ARUP
構造: ARUP
設備: ARUP
施主: Guggenheim Museum
施主: Guggenheim Foundation
Size
Gross Floor Area: 12,500 m²
Structure
publications
関連プロジェクト:
- ニュルンベルク・コンサート・ホール, 2017
- 浮競技場, 2016—2017
- カウナス・サイエンス・アイランド, 2016
- リマ市立美術館, 2016
- 多賀町中央公民館, 2015
- グッゲンハイム・ヘルシンキ, 2014
- 太田市文化交流施設, 2014
- 伊豆の国市伝統芸能会館, 2013
- 同志社大学チャペル, 2012
- ベルリン未来館, 2012
- ドバイの輪, 2009
- I'T, 2019
- カウナス・サイエンス・アイランド, 2016
- リマ市立美術館, 2016
- K8, 2014—2015
- デトロイト・高架橋・ギャラリー, 2014
- グッゲンハイム・ヘルシンキ, 2014
- 太田市文化交流施設, 2014
- 台中市立文化センター, 2013
- ベルリン未来館, 2012
- 東京デザイナーズウィーク アート・ギャラリー, 2011
- 東京・デザイン・ウイーク, 2011
- RG プロジェクト, 2009
- 東京・ベルリン|ベルリン・東京, 2006